十三機兵防衛圏感想 - ネタバレあり

とてもよかった。とにかくSFオタクが好きそうなものが全部入りで、満足感が高い。

以下ネタバレ込み。


全体として性善説のストーリーで、人は後天的にどんな人間にでもなれる、ということを描いていたように思う。主人公たち(のオリジナル)はそれぞれに難があり、人類を滅ぼした上に探査船内部で自滅したが、自分たちのオリジナルの思考やDNAに縛られず、自分たちの決断によって物語を解決に導いた、という風に自分は受け取った。解釈は色々ありそう。

森村千尋、東雲涼子、井田は物語的には大戦犯だが、結局生まれ直した彼らは罪はないわけで、誰もその罪を問おうともしない。そこが今までのループものと比べて「宿命」感が薄く、新鮮に感じた。

こういう教訓的な解釈とは別に、単に惑星探査、宇宙植民、疑似ループ、ロボットと、やりたいことをやっただけ、という感じも強く、非常にSF的なフェティシズムを感じた。

核心

作中で表現されないものもあるが(主に2188井田が不明)、ほぼ解決する。

ややこしいのは、起点となる2188年、ループ軸、セクター軸、そしてセクター0による模擬人格によるループの、何周目の誰が、何を目指していたか、という部分。

最終的なゴールは、植民船のテラフォーミング完了後の、新人類の人格育成プログラムに悪意あるプログラムが仕込まれ、人格育成プログラムが完了しないようにループするようになってしまった世界から脱出。

森村千尋が計画し、沖野が脆弱性を仕込み、東雲涼子が悪意を持って改造し、最終的に和泉(二週前)がそのバグを利用して、ユニバーサルコントロールを危機回避プログラムを強制起動するイージス作戦は成功する。

結果的に作中の大部分が沖野の自作自演で、自分で脆弱性を仕込んで、自分でそれをハッキングして物語を解決に導いた。

非常に複雑に見える割に、物語のコアとなる設定は非常にシンプル。それが良い。

ゲームパート

面白くないわけではないのだが、物語パートが面白すぎて、それをブロックする要素に見えなくなってしまった。結局物語を先にすすめることを優先して、最低難易度でクリアしてしまった。

しかし、戦闘があることで、物語の重みが出たのも事実で、時間に余裕があったなら最高難易度で苦しんで没入したかったと思う。

お気に入り

主に沖野くん。

東雲涼子のメンヘラ具合も中々いい…。周囲が悪意をもって東雲涼子を騙そうとしてるのではなく、東雲涼子が真実を受け入れられずに記憶を失ってしまう、というのがとてもよい。悪意がない。

それと焼きそばパン

最後に

この手の作品がたくさん出てほしいので売れてほしい!!!!!!!!!