Qiitaのランキングの最初の設計者としての「いいね」の設計と、「LGTM」は下においてほしいという話

https://blog.qiita.com/like-to-lgtm/

これについては chokudai さんに完全に同意なのですが、その理由として、自分の在職時に企画したサービス設計意図が強くあって、退職者がそれについて今更どうこういうのはどうか思うところもあるのですが、当時の同僚がほぼ全員退職してしまっているため、ここでその意図を伝えます。

お前は誰 & 何

当時の Qiita の開発で、ストックといいねを分離して、いいねをベースにしたランキングの実装のを提案したのが自分です。社内の Qiita:Team にそのログは残っていると思います。3年前に退職しました。

いいね導入の際に、ユーザーの皆さんに混乱を招いたことは申し訳なく思っています。ただし、その時の「いいね」は自分の提案したものと、かけ離れた形で導入されており、その件についてこの記事で説明すると同時に、LGTM は末尾に置くべき、という主張をします。

自分が提案した総合ランキング/サブカテゴリランキング制度

5 年前、当時の Qiita は Google,はてブからの流入が多く(現在でも比率が高いはずです)、自力でユーザーの回遊を回せない、サービス内でエンゲージメントを高める動線が弱い、といった課題がありました。これは Google 側の SEO アルゴリズムの変更や、はてなドメイン フィルタリングなど、なんらかの事情で Qiita への流入が絶たれると、サービスとして致命的である、 といった危機感です。

また、Qiita のサービスリリースの初期は機能していたタグ購読機能、ユーザーフォロー機能が、タグの多様化やコミュニティの肥大化で、あまり機能しなくなっていました。

そこで、ユーザーのエンゲージメントを上げる、つまり記事を書くやる気を出してもらう方法として提案したのが、ストックや閲覧数をベースにしたランキングシステムの導入です。その上で、総合ランキングのみでは、ノンジャンルで読みやすい「ポエム」が上がりやすくなってしまう(某壁問題)ので、タグの共起の相関クラスターなどを元にしたカテゴリ分類での、サブカテゴリのランキングの導入を提案しました。これはユーザータイムラインの代替として機能するはずだ、という意図です。

結果として、実装工数などの問題で、総合ランキングのみが導入され(これをテストリリースした段階で退職)、その後、後者は実装されませんでした。

時は経ち、 トップページのメインの動線が機能しなくなったユーザータイムラインから総合ランキングに切り替わったとき、当初懸念したとおり、技術的な実体のない「ポエム」系統の記事で上位が埋め尽くされる問題が加速してしまいました。

自分としては、これは当初提案していたサブカテゴリのランキング/あるいはクラスターのフォローの実装をしていれば防げたかもしれない問題だと思っています。(が、ちょっと自信無いです…)

いいねとストックの分離について

まず、Qiita には最初にストックがありました。これは「後で読む」ということを意図した機能です。なので、ストックは記事トップにありました。ランキング機能を作るにあたって、読まずにストックする可能性が高い「あとで読む」を転用すると、タイトル詐欺が加速する懸念がありました。

そこで、個人的な記事のストックとは別に、読み終わったあとの評価を分離した「いいね」の導入を提案しました。

もっというと、自分はストックは完全に不要な機能だと思っていました。個人のブックマークやソーシャルブックマークなどによって、それらは別途個々人がもっていたはずです。ただし、これは既存のユーザー の体験を壊すことになってしまうという yaotti の強い反対で、ストックの廃止は見送られ、ストックといいねが共存することになりました。(自分は今でもストックの存在は不要だと思っています)

その折衷案として、ストックは記事冒頭に表示するが、読み終わった人しか「いいね」を押せなくする、するという形で、いいねが実装されました。そしてランキングのソースはいいねを使うこととする、といった形になりました。

なので、いいねか LGTM かはどうでもいいのですが、記事の評価に対するフィードバックなので、そのボタンは末尾に置くべきだと思っています。読まずに LGTM を押す人が増えるという懸念です。

今のサービス設計から邪推してしまうこと

Qiitaは、基本的にいいねを押されるのが記事を書くモチベーションになっているプラットフォームです。だから、書き手のエンゲージメントを上げるために押しやすくしたいのは、とても理解できますが、タイトルだけで中身がいまいちなものが押されるようになると、その価値が失われてしまうのではないか、ということを伝えたいです。