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スターエンジニアはキラーアプリを生み出すのか?

日本Web技術界隈著名人の残念さ具合 - thinkchangの日々日誌 は内容自体はどうしようもないのだけど、テーマ自体は自分も日頃悩んでいたものなので書き出してみる。あ、そういえば行方不明のmalaさんは一昨日のハッカソンで振り向いたらいたんで大丈夫です。

技術的イノベーションによって可能になったサービスはたくさんあって、たとえばデータベースを使った動的なウェブサービス、2000年前ごろにPerl CGIが現実的な速度で動くようになってから増えた。たとえばYouTube、回線速度とストレージ価格が壁で2004年ぐらいまで難しかった。低価格のウェブカムの普及という背景もある。Skypeなどもそうだろう。IoTは現在進行形。

それとは別に、ありあわせの技術の組み合わせで高い付加価値を生むことができる。横井軍平はそれを「枯れた技術の水平思考」と呼んだ。

「枯れた技術」とは"最先端ではないが、すでに広く使われて、ノウハウも固まり不具合も出し尽くして安定して使える技術"のこと。「水平思考」とは"今まで無かった使い道を考える"ことである。 枯れた技術の水平思考とは (カレタギジュツノスイヘイシコウとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%9E%AF%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%AE%E6%B0%B4%E5%B9%B3%E6%80%9D%E8%80%83

ニコニコ動画なんかがわかりやすい例だろう。Youtubeにコメントのオーバーレイ。あれも最初はインフラで躊躇してYouTubeをソースとして読み込んだ挙句にアクセス拒否されたが、そこで自前インフラを組む決断をしたのが凄い。増井さんのGyazoとかもそういう類だと思っていて、単純な画像アップロードと十分セキュアなuuidのパーマリンク

組み合わせ、思いつくこと自体は簡単で、ウケるかどうかは未知数。だいたい、俺もできる、みたいな錯覚が生まれやすい。クソベンチャーとかだいたい俺のアイデアは革新的だ!最高なんだ!とかファウンダが思い込んでやってみるも市場に需要がなかったりする。今だと単にネット市場が未発達な市場に上手くプロデュースできると売れるみたいな状況はあって、比較的簡単だとは思うが、それでもその業界を知り尽くしてないと厳しい。

そんな状況がありつつも、現在では当たり前のことを当たり前にやるのは、実は結構難しい。難しさの解決には人件費がかかる。プログラマサイドの都合から言うと、昔と比べて「当たり前」がはるかに高い水準にあって、学ぶべきことの量がインフレしている。

その結果一人一人の専門性が高くならざるを得なくて、その結果複数人で働く協調スキルが必須になる。スクラムだgitだコードレビューだなんだかんだ。そんでいろんな役職の名前が増える。最近だとプロジェクトマネージャーから品質管理のためのプロダクトマネージャーをちゃんと区別しようという話が盛り上がったりした。それは顧客にとって間接的なテーマなので、何やってるのかわからなくなる。最初にあげた記事のような難癖つける人が増える。

革新的な技術を使ったプロダクトは、プロダクトがヒットするか自体がそんなに分がよくないレートだが、そこに「技術的な挑戦」が絡むと管理すべき変数が増えて制御ができなくなる。マネージ層はそこを嫌がる。

当たり前のことを当たり前に達成できるチームがあって、その上でやっと技術的な挑戦とその達成確率という変数をコントロールできる段階になる。

で、表題の件だけど、

と思ってる。

たぶん、業界が未発達なときは少人数で個人の範囲が大きく役割があやふやな時代があって、その時代は所謂スターが発見されやすい。ゲーム業界だと故岩田社長や中村光一がそれに当たるだろう。最初にあげた記事であげられたリストに照らすと2003~5年ぐらいのウェブはそういうスターが生まれやすかった時代だと思う。誰もやってない、その人しかできないことがたくさんあった。まあ件の記事の場合は単に観測範囲が初期のライブドアはてな関係者って気もするが…。

現在では、PaaSによるインフラコスト削減やUnity等の開発環境のイノベーションがいくらかあって、少人数チームに回帰できる今こそスターが出るような時代な気がしなくもない。ゲーム業界はUnityとかその辺があってIndieシーンが盛り上がってる、という認識。MinecraftのNotchというロールモデルもある。対してWebは、その働き方をするはずのPaaSはそれ自体が学習コストとランニングコストかかるのでまだまだ破壊的なイノベーションにたどり着いてない気がしている。AWSそれ自体が一大ジャンルすぎてめんどい。フロントエンド的にはMBaaSがあと一歩進化した先にあると思っていて、Googleに買収されたFirebaseとか? まだわからない。

とりあえずWebRTC/WebSocket/HTTP2あたりのリアルタイムウェブとIoTはこれからいくつかの花火が上がるだろうが、着地点に対してビジョンをもてる人がほとんどいないので、金脈が掘り当てられるまでしばらく試行錯誤の時代だと思う。VRについては未だによくわからん。Oculusが一台3000円になったら今すぐにでも時代くるのでは。

あと、このツイートでは大企業が、って言ってるけど技術優位をもたないといけないのはベンチャーも一緒で、一瞬で実装が見破られて真似されるものは今の速度感においては致命的だったりする。後発に追いつかれないために強固なコミュニティを作ったり、邪悪な囲い込みを実施したりする。BtoCだと反感を買うのでそこまででもないが、BtoBだとえげつない話がたくさんある。

結局エンジニアからしてもヒットするかどうかは全ては確率の話。品質を担保することでプロダクトの持つポテンシャルを殺さないのが役目であり、そもそもの市場の有無について責任を要求するのは、それだけの権限を持ってない場合無理筋だと思う。(企画起こしたり企画に携わる場合はその限りじゃないよ)

そして現在では技術が極まった人はユーザーから観測しづらい基盤技術にいってしまったり、企画に行った人は他のエンジニアから観測されなくなったりで、分断が起こる。これも一つの35歳限界説だと思う。

これも一つのポジショントーク

とはいえやっぱこの記事もポジショントークで、自分は他人ができることはあんまりできないけど、その分他の人が興味を持たなかった箇所に注力したタイプの人間なんで、僕がいたら他者にできないことができますよ、どうですか、というような働き方、転職の仕方になってる。

Kobito for Windows とか国内でEletronを使った前例がない中で僕個人のスキルにだいぶ依存して完成したのがあり、だいぶ他社に真似しづらいのだが、会社としてもスケールしにくいというデメリットがある。なので、自分のスキルのスケールしなさを克服するために情報発信を多く心がけていて、自分自身のスキルの特質性が薄れるかわりに共通認識ができて結果として働きやすくなる、と思っている。

僕は国内市場というガラパゴスをハックしているだけで、日本のエンジニアちょろいとも思ってるが、だいぶリスキーな技術選択をしているので、その分の見返りは欲しい。

最近の若手は一発当てたくて消耗している

まあなんだかんだで、やっぱ働くからには、ベンチャーにいるからには一発当てたいという気持ちはある。ストックオプション当てて休職し、一年好きなコード書いて、その次は自力で一発当てる。そういう目標がある。たぶん皆多かれ少なかれそう思ってるはずで、また外野からもそれが求められている。趣味時間の勉強、趣味時間の個人プロダクト制作を暗に要求されている気がしていて、それが界隈を疲弊させている感覚もある。

あと3年、30歳までにどうにか。ダメだったら情報発信した分の信用を使って技術評価してくれる給与高くて勤務条件いい会社行くわ。