「ローマ人の物語」2巻まで読んだ

帰省の新幹線の往復で2巻まで読んだ。ローマという国がどのように成立し、繁栄していったか。その歴史を数々の文献から引用しつつ著者(塩野七生)の感想を交えつつ語られる。

第一巻では、やや伝説化したローマ建国から初期の王政を経て、元老院の成立とそこから生まれた貴族という概念、市民への公職解放、執政官や独裁官の成立など、どのような政体(参政権徴兵制度)をとることで、どのように組織(軍隊)が変質していったか、それぞれの時代に合わせてメリット・デメリットがあったか、筆者の見解とともに語られる。ローマ市民という概念がどのように形成されたかはとても興味深い。

ローマ人がとにかくシステム化好きなのは以外だった。今のイタリアという国にはあんまりそういう印象がない。ローマ軍主力の重装歩兵が市民階級であるから、元老院は市民階級の声を無視できないという仕組みは面白い。

戦記として

とくに面白かったのは、まさに古代の総力戦とも言うべき第二次ポエニ戦争で、カルタゴハンニバルと、ローマのスキピオという英雄が登場する。17年にも渡る戦争で、最初は少年の一兵卒として参加したスキピオが最終的には異例の若さで執政官に選ばれ、ハンニバルを粉砕する。

ハンニバルの圧倒的な序盤の展開から、ローマの焦土作戦にも似た持久戦で、カルタゴからの支援が得られぬハンニバルが徐々に追い詰められいくのが克明に描写される。

生涯無敗の英雄は数いれど、ハンニバルという伝説的な英雄を相手にしてのスキピオの無敗は更に際立つ。ハンニバルアレクサンダー大王の戦術に学び、スキピオは敵であるハンニバルの戦術を吸収した。とにかくスキピオが主人公体質過ぎてすごい。騎兵を活かす戦術でカンネの戦いでローマ軍を粉砕したハンニバルが、騎兵を十分に揃えられずスキピオに大敗するザマの会戦が物語としてのピークだった。

単純に戦記として面白い。自分はあまり世界史は詳しくなかったので、新鮮な気持ちで読んだ。 3巻はグラックス兄弟から始まるらしいが、第二次ポエニ戦争が盛り上がりすぎてここから正直盛り上がりに欠けそうな気はする。とはいえカエサルまでは読みたい。